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水窪の朝は川霧で白かった。川霧の出る日は晴れである。よし、これで今日は行けるぞと気合が入る。なんせ登りの標高差合計が約1600mもあるのだ。
出発前に大切な用事がある。水窪町役場に立寄って、天野町長に相良町からお預りした塩をお届けするのである。休日にも関わらず、天野町長は笑顔でわれわれを労ってくださった。勇気100倍である。
水窪泊は中村館。朝は珍しそうにサイクリストを見送って頂く。 | 水窪は朝から霧が立ち込めていた。 | ||
天野水窪町長に塩をお届けする。 | 水窪町役場を9時に出発。 | ||
静岡から二日目のみ参加したいと駆けつけてくれた長坂さん。 | 同じく静岡から二日目、三日目と参加する田代さんも合流。 |
水窪を出ると、いきなり登り坂の連続だ。ぐいぐい登ってゆく感じである。有名な西浦田楽の行われる所能の傍らを過ぎ、三遠南信自動車道の入口に辿りついたのは10時少し過ぎ。草木トンネルは自動車専用道なので、自転車で走ることができない。ここは手早くサポートカーに自転車を積み込んで、ワープなのだ。草木トンネルを抜けてすぐにまた自転車にまたがる。ここからがいよいよ厳しい登り。健脚組はぐいぐい登るが、私をはじめランドナー系はじわじわゆっくり進む。時速6qぐらいだ。
草木トンネルは自転車・歩行者が通行できない。車に自転車を積み込む。 | 突如現われる自動車専用道の草木トンネル。 | ||
兵越峠まであと少し。 | 兵越峠で浜北市の河合さんが「新聞見たよ。がんばれ!」と飴のプレゼント。 | ||
このた集落は素敵な風景ばかりだった。 | このた集落で見付けた美しい柿の木。 |
ヒョー越峠全員到着は11時過ぎ。コーヒーを沸かして、体が冷えないうちに慎重にダウンヒルにかかる。舗装だが部分的にけっこう荒れたりもしている。途中で普通のルートから外れ、此田という集落の中を狭いヘアピンの道で通り抜ける。
八重河内でお昼だ。和田の町も現在は裏道の塩の道などを通って、またまた遠山川沿いにゆるやかに登り始める。木沢で小学校に立寄ってみたのだが、ここが実に素晴らしかった。いろんな展示があって、それも実に感慨深かったのだが、昔のままの教室の風情が残されている一室があり、もうなんとも言えず懐かしかったのだ。木沢のていしゃばというところにある森林鉄道のディーゼル機関車と客車もなかなかのものだった。
八重河内まで下り坂で、大畑さんのブレーキシューが磨り減ってしまった。 | 八重河内で出会った浜松市の竹内さん。ここでも新聞記事の話題で盛り上がる。 | ||
ひなびた和田の町並みを行く。 | 和田で購入した遠山名物玄米パン。 | ||
南信濃村の廃校となった木沢小学校に立寄る。 | 木沢小学校には往時のままの教室風景があった。 |
木沢から三遠南信自動車道矢筈トンネルの入口までが、いよいよの正念場。それほど急傾斜ではないけれど、すでにヒョー越峠でかなり足を使っているので効く。トンネル手前の数qがなかなかタフであったのだ。矢筈トンネルも自動車専用だから、草木トンネルと同様に、自転車を車に積んでワープするしかない。南側に赤石トンネルを通るルートもあるようなのだが、近年ほとんど車は使わないようで、最近熊の出没情報もあり、冬季通行止め直前で凍結も予想されたし、何よりまた標高1000m以上まで登らなければならないため、安全と時間を考えてパス。
程野トンネル手前でまた自転車と参加者を車に載せる。 | 程野トンネル手前で飯田市から迎えに来てくれた田中さんの車にも分乗。 | ||
飯田市のりんご畑を行く。 | 飯田市街地まではあと少し。 | ||
伊那八幡駅近くの踏切。電車を久しぶりに見た。 | 飯田駅に到着して、ホッと一息。 | ||
長坂さんは自転車と共に飯田線で水窪まで帰る。 |
矢筈トンネルの手前からもう日陰。かなり寒くなり、トンネルを抜けたら気温はびっくりするほど低い。充分着込んでゆっくりと長い下りに入る。そのまま天竜川筋に下りるのではなく、氏乗から富田を通ったのがルートのポイント。対岸の河岸段丘はるかに夕暮れ間近の飯田が望めるのだ。かたわらの尾根では蒼い秋の空に木々の影が映り、伊那谷ファンの私はもう感動である。
天竜川を渡り、秋葉街道の飯田川起点でもある伊那八幡駅付近を通って、最後にまた河岸段丘上の飯田駅まで標高差100mほど登る。今日また静岡に帰る仲間を見送りつつ、ともかく安全に飯田まで来ることができたことに感謝である。飯田名物のおたぐりや馬刺しも味わいながら、夕食は自転車旅談義でおおいに盛り上がったのであった。
メンバーからひとこと 石田聖典さん(静岡県小笠町) 鈴木孝弘さん(静岡県森町) 大畑克彦さん(静岡県掛川市) 篠宮章浩さん(東京都杉並区) 池田年広さん(東京都八王子市) 花島竜治さん(神奈川県横浜市) 山崎卓巳さん(静岡県掛川市) 田代正志さん(静岡県静岡市) 長坂潔曉さん(静岡県静岡市)から感想が届きました 豊かさへの緊張感を忘れかけていた自分には良い旅だったように思う。 |